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「みんながカメラマン」の利用規約

テレ朝が報道番組向けの動画投稿サイトを作っていて、その利用規約が議論になっているっぽい。

無償なのは既存の投稿番組を考えれば普通だと思うし、加工、修正するのは字幕入れたりモザイクをかけることを考えると当然かなと思う。

私が気になったのは以下の2点。

  • 投稿者が著作人格権の不行使を書いてある
  • 投稿動画の利用者と利用目的が広すぎる

著作人格権の不行使は以下の部分。

5.テレビ朝日テレビ朝日指定の第三者を含みます)は、前項記載の利用のために、投稿データを自由に編集・改変することができるものとします。投稿者はいかなる場合も、投稿者の有する著作者人格権を行使しません。

著作人格権には以下の様なものがある。

  • 公表権
  • 氏名表示権
  • 同一性保持権

どれを想定しているのかは不明なのだが、問題になりそうなのは公表権と同一性保持権かな。投稿した後に公表したくなくなった時に取り消すことが可能なのか、あからさまにおかしな編集をされた場合に異議を申し立てることが可能なのかなど疑問が出てくる。そもそも利用規約でそういう制限ができるのか不明だが。

また、著作人格権を不行使契約は無効であるという学説もあるらしく、それだけ強い要求を利用規約に書く必要があったのかなと。

利用者と利用範囲は以下の部分。

4.テレビ朝日は投稿データを、地域・期間・回数・利用目的・利用方法(放送、モバイルを含むインターネット配信、出版、ビデオグラム化、その他現存し、または将来開発されるあらゆる媒体による利用)・利用態様を問わず、自由に利用し、またテレビ朝日が指定する第三者に利用させることができるものとします。当該利用にかかる対価は無償とします。

「利用目的を問わず」かつ「テレビ朝日が指定する第三者に利用させることができる」としている。

同様のサービスであるFNNビデオポストやNHKスクープボックスは以下のように利用目的は明記しているし、利用者は「FNN各局」や「NHK」としている。

(1).提供データは、目的や期間を問わず、FNN各局が以下の態様で使用することができるものとします。
 ・放送(BS、CS、ケーブルテレビ、海外での放送も含みます)
 ・インターネット・スマートフォン・携帯電話サイトでの自動公衆送信
 ・パンフレットやブローシャー等、紙媒体への掲載
 ・国内外のコンクール等への出品
 ・出版物、ビデオ、DVDなどへの2次利用

- 利用規約 - FNNビデオPost

(1) 著作権は、撮影者に帰属します。ただし、NHKは、本利用規約に同意のうえ投稿していただいた動画・静止画については、次に定める目的のために、期間の制限なく、無償で利用すること、また、動画・静止画およびそれを用いた番組等を保存することができます。
NHKの放送番組とNHKのインターネットサイトのための利用
NHKの広報活動や展覧会、研究・調査等のための利用(外部インターネットサイトへの掲載を含む)
③国内・海外のコンクール等への出品
NHKの判断による国内・海外での公共的な事業への提供
⑤国内・海外の放送局、CATVでの放送
⑥国内・海外でのイベント等での利用
NHKの放送関連の書籍、雑誌、DVDなど他媒体(ばいたい)への提供
⑧上記の他、今後開発されるあらゆる媒体での利用

NHKスクープBOX

おそらくテレビ朝日も似たような範囲を想定していて、今後の利用の可能性を考えて目的を制限しなかったのだと想像する。だとしても、目的は制限しておいて、別目的で利用したいということになったら規約を改訂すべきだと思う。