- 高木浩光先生、通信の最適化についてauに電凸(前編)「元に戻せない圧縮であるが、改ざんではない」 - Togetterまとめ
- 高木浩光先生、通信の最適化についてauに電凸(後編)「そんな適当なこと言って大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」 - Togetterまとめ
コールセンターの人大変だな〜。
で、似たような事例ないのかなと思っていたら、以下のようなものがあった。
- 送信ドメイン認証及び 送信ドメイン認証及び25番ポートブロックに関する 25番ポートブロックに関する法的留意点
- 当研究会第一次取りまとめを受けた「電気通信事業者における大量通信等への対処と通信の秘密に関するガイドライン」の修正の概要
前者も後者もDoS攻撃とかスパムメール対策のためにISPが通信をブロックしたりチェックしたりしてよいかということについて論じている。
まず、前者に書かれてあるように25番ポートブロックなどは通信の秘密の侵害と解される可能性があるが、正当業務行為など一定の事情が存在すれば違法性が阻却されるそうだ。
送信ドメイン認証技術及び25番ポートブロックは、特定の電子メールをフィルタリング又は受信拒否する目的で、当事者の意思に反して、送信者の通信に関する情報(ドメインやIPアドレス等)を確認し、この情報を利用する行為である。このため、これらの行為は通信の秘密の侵害と解されると同時に、電気通信事業法に規定される差別的な取扱いに該当する可能性がある。しかしながら、これらの行為も正当業務行為など一定の事情が存在すれば、違法性が阻却される。
正当業務行為かどうかは(1)行為の必要性及び正当性、(2)手段の相当性があるかどうかによって決まる。
正当業務行為(違法性阻却事由)が認められる要件
一般に、正当業務行為が認められるためには、(1)行為の必要性及び正当性、(2)手段の相当性が必要である。
正当性の方は今回の場合は限られた通信を有効活用するためで認められそうな気がする。あと、手段の相当性は「他に方法はないの?」というものだが、IIJとかは通信の最適化を行わずに運用しているようなので、ここを攻めるのは良さそう。
あと、契約書や利用規約に書いているだけで、他に別途同意を取るべきではという点については、2つめの資料が少し参考になるかな。
この資料ではマルウェア配布サイトへのアクセス時に注意喚起を行って良いかという問題について書かれてある。これも通信内容が改竄されているのだが、以下のように包括同意であっても問題無いとしている。
マルウェア配布サイトへのアクセスに対する注意喚起を行うに当たって通信の秘密に当たる情報のうち必要最小限度の事項(アクセス先IPアドレス又はURL)のみを機械的・自動的に検知した上で、該当するアクセスに対して、注意喚起画面等を表示させることについては、一定の条件*を満たす場合には、契約約款に基づく事前の包括同意であっても、当該注意喚起を行うための通信の秘密に属する事項の利用についての有効な同意ということができる。(第一次取りまとめ P20)
* 1.契約約款に同意した後も、随時同意内容を変更できること。同意内容に関わらずその他の提供条件が同一であること。2.契約約款の内容や随時同意内容を変更できることについて相応の周知がなされていること。3.注意喚起画面に同意内容を変更できること等の説明がされていること。
ソフトバンクの場合は同意内容を変更できないのでダメだけども、auやdocomoは変更可能なのだ大丈夫そうかな。相応の周知がされているかという点はちょっと問題かもしれない。