てきとうなメモ

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学者のウソ

学者のウソ [ソフトバンク新書]

学者のウソ [ソフトバンク新書]

学者批判というか学者バカ批判.学者は専門家なので,その限られた世界しか見ようとしない.そのために他の世界も関係してくるような問題に対する発言がずれてくる.たとえば,住基ネットにセキュリティの専門家が反対していたけれども,実際にそこに流れる個人情報はたいしたものではないので,企業の持つ個人情報の方が狙われやすい.手法としてもネットワークから侵入を試みるよりも,内部の人間に情報を抜き出してきてもらうほうが現実的だと.

ここら辺までは同意だったんだけども,途中からついていけない部分がでてくる.批判のレベルでは正しいと思えるのだが,自らの主張を著している部分ではどうもその論理が雑な気がする.例えば,女性専用車両の話などは,単に企業が女性向けのサービスを提供しているだけなので別にいいのではとぐらいにしか思わないのだが,著者の話ぶりだと国が法律で決めたかのようなイメージがある.

とはいうものの,著者はこのような学者のウソをなくすために言論責任保証という仕組みを作っている.自らの発言に対し,お金を払って,その言論が正しいことが確認されたら.お金を返してもらうという仕組みである.こういった行動力は普通にすばらしいと思う.ただ,実際に制度として成立するのかという疑問は大きいけど.