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ウィキペディアで何が起こっているのか

ウィキペディアで何が起こっているのか 変わり始めるソーシャルメディア信仰

ウィキペディアで何が起こっているのか 変わり始めるソーシャルメディア信仰

Wikipediaについてやや批判的にかかれている.問題点とされているのはその管理体制で,素人的でよくないよねと.

例として出されているのは,個人情報をWikipediaに書き込まれた時に,発信者情報開示請求をしようとinfo-jaにメールを送ったら,アメリカのウィキメディア財団に連絡してくれと言われた事例.これはちょっとひどいなあと.ただ,基本的にサービスの管理者/責任者という意味での管理者が日本には存在しないらしい.管理者と呼ばれている人たちは他のユーザよりも保護やブロック,保護/ブロックされた記事の編集ができるというだけで,責任者というわけではない.第4章では管理者にインタビューを行っており,彼らの考えを読んでいくと管理者というには少し当事者意識が低いのでは思ったけども,一般的な意味での管理者/責任者ではないのでしょうがないのかもしれない.ただ,実際に被害が出ており,それで外部の人たちが納得するのかという気もする.そこは何とかしなくてはならないのではと.

別の例として出されていたのはWikipediaイオンド大学に対しての批判的な記事を管理者にスタブ化→保護されてしまったという事例.管理者の対応は少し過敏であるとは思うのだけども,そんなに大きな問題とは思わなかった.訴訟の可能性を考えると無難な方法を取るのはありだろう.著者はWikipediaの存続と社会正義のどちらが重要なのかと批判しているのだが,イオンド大学の記事がないことのデメリットよりもWikipediaが存続するメリットの方が自分には大きいかなあと.ディプロマミルについて啓蒙したいんであれば,別のサイトでもできるわけだし,それをWikipediaの存続を賭けてまでやるべきものじゃあないと思う.さらにdiggの事例を出してこれぐらいの気概を持てと言っていたのだが,これはちょっと駄目だろ.あれは単なる嫌がらせに過ぎないよ.

ちょっと微妙なところもあったけども,Wikipediaで起こった事件のリストとかもあって資料としては良い本だし,管理体制の不備という点では共感できた.