- 作者: 廣瀬陽子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/07/17
- メディア: 新書
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南カフカスのアゼルバイジャン,アルメニア,グルジアの3国,北カフカスのチェチェンやダゲステンのようなロシア連邦内の共和国とロシア,アメリカ,EUとの国際関係を論じた本.非常にタイミングの良い時期に出版されたなあと.
グルジアについても詳しく書かれていた.南オセチアやアブハジアといった紛争地域が今回の紛争で有名になったのだけども,それ以外にも同じグルジア人だがイスラム教を信仰するアジャリア共和国や,アルメニア人やアゼルバイジャン人の居住地域,チェチェン人の住むアフメタ地区といった紛争に成りうる対立が存在する.これらのいくつかにはロシアの関与があり,紛争地域に関してはロシアの支援によって事実上敗北して,国際的には承認されていないのだけどもほぼ独立状態になっちゃっている.
そんなこんなで,グルジアは親欧米,反露という傾向が強い.なんだけども,NATOにはフランスとドイツが反対して加盟できなかったし,EUに対してはENPというEUの近隣諸国に対する政策の対象国になったのだけども,「ENP対象国になったということはEUに入ったこととほぼ同じ」とか空気の読めないことを言ってEUから苦言を呈されたりしている.外交下手というのもあるのかもしれない.著者の予測としてはEUに加盟するのもNATOに加盟するのも難しいのではないかとのこと.
前提知識なく読んでもとくに問題なくすらすらと読めて勉強になった.