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疑似科学入門

疑似科学入門 (岩波新書)

疑似科学入門 (岩波新書)

疑似科学批判の入門書かと思ったのだけども,著者があとがきに書いているように「疑似科学社会学」というタイトルの方がふさわしいと思った.疑似科学そのものにあまり深入りせず,疑似科学に対する人間の行動について批判している.

この本では疑似科学

  1. そもそも科学じゃない精神世界的なもの(占いとか)
  2. 科学を援用,乱用したもので科学的根拠が不明なもの(マイナスイオンとか浄水器とか)
  3. 複雑系」科学なんでシロクロつけられないものを,シロクロつけちゃっているもの(地球温暖化問題とか)

と3つに分類している,

1と2についてはよく疑似科学として批判されている.それを広く浅く論じていたのだがデータを提示して批判している部分がが少ないので総論は同意できても論理展開があまり同意できない部分があったかな.

3の疑似科学に対してどう対処すべきかについて,著者は科学的根拠がなくてもできるだけ安全な方向に決定しようとする予防措置原則というのを主張している.地球温暖化問題については自分はどちらが正しいのかよくわからない部分があるので,その対処法は理解できるのだけども,他にも家電製品や携帯も含めた電磁波公害とか遺伝子組み換え作物に対する批判とかの例をだしていて,電磁波が危険だという説にも遺伝子組み換え作物が危険だという説に関しても科学的根拠はないけど受け入れるべきと考えているみたい.でも,それって2にも使えそうだなあ.水道水を浄水器を使わないで飲んでしまうと健康に悪いので,浄水器を買いましょうというのとあまり大差ないような気がする.実際に電磁波を防ぐグッズなども売られているみたいだし.危険だと言われているものを全て排除するのではなくて,どの程度危険かのリスクとその危険性を受け入れることによるメリットを比較して決定すればいいんじゃないのかな.で,その危険性の度合いを教えてくれるのが科学者の役目なんじゃないかと.