- 作者: 保阪正康
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/04/19
- メディア: 新書
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昭和31年3月16日に開かれた,「第24回国会 衆議院内閣委員会公聴会 憲法調査会法案について」の記録.9割が国会議事録そのままなので,ここから見ることができる.買った後に気づいたので,ちょっとぼったくりな感じがする.
とはいえ,話の内容はなかなかおもしろい.現在の憲法改正に関する議論に通じるものがある.だいたい論点は以下の6つぐらい
- 現在の憲法が押し付けられた物かどうか
- 天皇を元首とすることで国民主権が損なわれないか
- 憲法調査会を国会ではなく内閣に置いてよいか
- 基本的人権を法律で制限してよいか
- 自衛隊と9条の関係
- 違憲立法審査権はおかしいのではないか
1は不毛な議論だと思うんだがかなりの割合がこれに費やされている.改正すべきかどうかに直に関係するわけではないと思うんだが,賛成派も反対派も思い入れが強いらしい.意外だったのが6で違憲立法審査権ってのは当然あるべきものだと思っていた.でも,Wikipediaなんかを見ると
これに対して、ヨーロッパ諸国においては、議会が制定する法律により行政権や司法権に制約を加え、それにより国民の人権を保障する考え方が立憲主義の中核と理解されていた。そのため、立憲主義が確立した当初は、議会が制定した法律の合憲性を審査する制度の導入は、民主主義に反するものとして躊躇された。
違憲審査制 - Wikipedia
民主主義に反するものとみなす考え方もあったらしい.論点にはなかったんだが,改正案には最高裁判所裁判官の国民審査を廃止するとかあってちょっとびっくりした.現実に有効に働いていないとは思うけども.