てきとうなメモ

本の感想とか技術メモとか

クメール文字とUnicodeの参考文献

クメール文字のUnicode対応でもめたという話は読んだことがあるな。

ユニコード戦記 ─文字符号の国際標準化バトル

ユニコード戦記 ─文字符号の国際標準化バトル

こちらの本は小林龍生氏によるもので、クメール文字に関する文章の内容はほぼこちらと同じなのだが、読みなおすとそこまでボロクソには書いていなかった。漢字文献情報処理研究は2005年のものなので、意見の変化があったのかもしれない。

この本の中では小林氏もUTC側にも専門家としての非があることを認めている(7:3ぐらいでカンボジア代表団が悪そうな書き方だったけど)。

また、UTCのメンバーには言語の本質は音声にあるという言語観を持つものが多いという指摘が面白い。クメール文字は合字により視覚表現が変化するのだが、欧米の文字にそのようなものはあまり見当たらないように思う。そのため、視覚表現を重視するという感覚が弱いのかもしれない。

文字符号の歴史 アジア編

文字符号の歴史 アジア編


こちらの本はアジアの文字符号の歴史について書かれたものである。様々な文字について書かれているためクメール文字についてさかれているページはあまり多くない。しかし、クメール文字のUnicodeへの対応についても書かれている。

現在のクメール文字を提案したのはMichael Everson氏とMaurice Bauhahn氏だが、それ以前にも標準化の動きはあったそうである。それをまとめていたのが、Nobert Klein氏(小林氏の記事ではドイツ人牧師と呼ばれている)である。

Micael Everson氏とMaurice Bauhahn氏の提案について著者はNobert Klein氏にメールを送ったのだが、健康状態が悪くメールに気づかなかったため、最終段階になってやっと会議に参加できることになったそうだ。

あと、Maurice Bauhahn氏によるUnicodeにおけるクメール文字のFAQがあったのでこれも記録しておく