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タコマナローズ橋

「図説偽科学・珍学説読本」にタコマナローズ橋の話が出ていた。

図説偽科学・珍学説読本

図説偽科学・珍学説読本

タコマナローズ橋の話は、ソフトウェア系の本で読んだことがある。建築とソフトウェア開発の違いはあるけども、予測できなかった失敗の例にふさわしい。で、その原因は、風が橋の上下に渦を生成し、渦が橋の固有振動数と一致し、共振を起こしたからと説明されることが多いらしい。

実際にWikipedia(ja)もそのように説明している。

この事故は、技術史の中でも共振が生じた結果の被害現象として、たびたび実例に挙げられている。

タコマナローズ橋 - Wikipedia

落橋後の原因調査で、桁が薄い板状になっていると、振動が非常に起こりやすいことがわかった。この振動は横風によって桁の上下に発生した空気の渦が桁を上下に振動させ、さらに大きな渦が発生して振幅を増大させる自励振動(発散振動)と呼ばれる。

しかし、この本では、P・ジョセフ・マッコナ教授とアラン・C・ラザー教授の共同論文を反証として挙げており、共振は固有振動数と渦による振動が厳密に一致しないと発生しない現象であるため、タコマ橋を襲った強風の状態では発生しそうにないとしている。

また、Wikipedia(en)の方ではやはり渦による共振説を否定している

In the case of the Tacoma Narrows Bridge, this appears not to have been the cause of the catastrophic damage. According to Professor Frederick Burt Farquharson, an engineering professor at the University of Washington and one of the main researchers into the cause of the bridge collapse, the wind was steady at 42 miles per hour (68 km/h) and the frequency of the destructive mode was 12 cycles/minute (0.2 Hz).[18] This frequency was neither a natural mode of the isolated structure nor the frequency of blunt-body vortex shedding of the bridge at that wind speed (which was approximately 1 Hz). It can be concluded therefore that the vortex shedding was not the cause of the bridge collapse. The event can be understood only while considering the coupled aerodynamic and structural system that requires rigorous mathematical analysis to reveal all the degrees of freedom of the particular structure and the set of design loads imposed.

Tacoma Narrows Bridge (1940) - Wikipedia, the free encyclopedia