てきとうなメモ

本の感想とか技術メモとか

DPI技術を用いたISPによる広告配信

なんだかISPを擁護しすぎな気がする。

前半部分の

  • DPI技術そのものは悪い技術ではないよ
  • 総務省は無条件に容認したわけではないよ

という点に関しては総務省の資料でも確認できるし、同意できるのだけどね。

以下の部分でたいして情報を取得できないように主張されているんだけども

・何を買ったか?

しかし、具体的に「どのビデオを見たのか、何を買ったか」という事は、ドメイン名の後の文字を調べる必要があります。

例えばhttp://www.youtube.com/watch?v=a6Oq14YgpL4&NR=1と書かれていてもなんの動画かは分からないでしょう。そして、実はyoutubeはアクセスして来た人や、地域によって同じ動画であってもURLが変化する事があります。特定のURLに含まれている文字列だけを単純に読み取るだけでは、何の動画かは単純にはわからないようになっています。

・どんな言葉で検索したか?

暗号化されていない通信においては検索されたキーワードから検出する事が可能です。しかし、google等はhttps://www.google.com/というHTTPSによる暗号化された検索を可能にしているため、こういった暗号化機能付き検索エンジンを利用されてしまっては、検出する事は不可能です。

普通検索でhttpsをつかうことはないし、urlの解析も元情報がわからないくらい難読化されているパターンは少ないので、ログインするときやショッピングで注文する時以外のほとんどの場合は情報は取得できてしまうだろう。ここを強調する必要性は感じない。

そして、「ユーザの行動を把握し、広告を配信する」という目的を達成するために、最も有利なのは、暗号化/非暗号化に関わらず情報の収集が可能なトラフィックの「発信点」と「到着点」である事に違いありません。

この点において、最も有利なのは、「発信点」側にAndroidChrome OS、Google TVを持ち、「到着点」として、世界最大の検索エンジンと動画サイトを保有するGoogleに他ならないでしょう。

もし、皆さんが「趣味嗜好を分析されるのが嫌だ」と言われるのなら、もうGoogleの提供するサービスは使わない方が良い。

そして、皆さんの大好きなiPadiPhoneiTunesも「広告を表示する場所として最適であり、行動を収集する事が容易」であり、Apple Storeも有力な「到着点」である事を忘れてはいけない。

GoogleApple等の有力な「発信側」「到着点」を保有しているコンテンツプロパイダーに比べれば、「ユーザの行動を把握し、広告を配信する」という目的を達成するために、DPIはベストな手段ではありません。

Googleは到達点にあるからこそ、通信の当事者であって通信内容を解析してもいいんだけども、ISPは中間にあるものなのでそこが勝手に解析したら通信の秘密の侵害になるという話ではなかろうか。総務省の資料にも書いてあったような。

また、ISPは1つのウェブサービスに限らず、すべての暗号化されていない通信内容を解析可能なわけなので、より情報の量は大きくなって、漏洩したときの被害は大きいだろうな。

皆さんは、プライパシー保護を理由に従量課金を受け入れますか?それとも、プライバシーより、定額制を継続する事を望みますか?

なんで二択なんだろ?ISP側でそんな提言してる人がいるんだろうか?タダ乗り論は何回か読んだことあるけども、その解決策が従量課金かDPIによる広告の2択であるという意見は読んだことがないなあ。従量課金にしないとやっていけないレベルのものを「ベストな手段でない」DPIによる広告で補填できるものなのかが疑問だし。


総務省の資料はこれ